2017年8月3日木曜日

DRAM 2018&2019 最新情報

2018年と2019年のDRAM(Demand Response Auction Mechanism)の契約者が決定し、CPUC からの承認を待つフェーズに入りました。

最終ラウンドとなる今回は契約容量の総量が200MWにもなります。

契約内容の詳細について、GTMに良い記事があったので、そちらを元に私の方で表に纏めてみました。


電力会社 契約者 契約容量(MW)
SCE OhmConnect 60+
契約容量:99MW Enerwise/Cpower 35
予算: $12M EcoFactor 0.5
GreenChargeNetworks 0.5
Tesla 0.34
電力会社 契約者 契約容量(MW)
SDGE NRG Curtailment Solutions 6
契約容量:14MW OhmConnect 4
予算: $3M Autogrid 1.7
Stem 1.2
Green Charge Networks 1
電力会社 契約者 契約容量(MW)
PG&E EnerNoc unknown
契約容量:80/90MW Ohmconnect unknown
(2018/2019) Autogrid unknown
予算: $12M Sunrun unknown
Tesla unknown

TeslaやEcoFactorが入ってきているのが、いよいよ(やっぱり)、という感じで面白いですし、逆にeMotorWerksなどが入らなかったのは、まだまだアグリゲーションが難しい部分があるのだろうか、と推測が進みます。

OhmConnectが3社全てのUtilityと契約、しかもとても大きな契約容量であることも驚きでした。SCEとは全部で60MWの契約、2019年までに用意できる予定とのことです。結構ストレッチしている目標な気もするので、これからのexecution能力に期待です。

OhmConnectは私が、会社が立ち上がった初期から面白いと目をつけていた会社であり、最近の活発な動きはとても興味深いです。


2017年6月21日水曜日

NYのREV(Reforming the Energy Vision)

AIを活用した新しいタイプの電力会社として、スタートアップのDriftが資金調達(シリーズA、約$2M)をし、ニュースになっていました。
使われる技術自体は特段目新しいものではないですが、このようなスタートアップが「電力会社として」ビジネスを行うことは新しいです。

このような新しい電力会社が誕生した背景としては、NYのREV(Reforming the Energy Vision) があります。REVとはニューヨーク州の電力改革のイニシアチブで、消費者がより多くの情報を基にエネルギーを選択できるようにし、新しいエネルギー製品やサービスの開発を促すことで、州全体の環境を守り、同時に経済発展や雇用創出を行おうとするものです。

Driftはシアトルに本拠を置く会社ですが、シリコンバレーの私の知っているスタートアップ企業でも、ニューヨーク州をビジネスの拡大の足掛かりにしようとしているところがあります。

弊社(Eneleap Consulting L.L.C.)では、カリフォルニア州やニューヨーク州をはじめとする州別の政策レポート(定期レポート)の他、Block ChainやTransactive Energy、Community Choice Aggregation等、テーマ別の調査レポートも発行しております。
もしご興味のある方はinfo@eneleap.comまでご一報ください。

2017年6月3日土曜日

東京大学と早稲田大学にて講演しました

5月24日に東京大学生産研スマートエネルギーネットワーク研究会、5月26日に早稲田大学の電力技術懇談会にて講演しました。

いずれも、電力・ガス会社や車会社など、エネルギー関連の方々が多く集まる講演会で、私は「米国におけるエネルギー新ビジネスの最新動向」についてお話させて頂きました。

連邦政府の政策、カリフォルニアなど州レベルの政策の最新動向、さらに私の考えるスタートアップのトレンドや今後の展望、電力会社の取り組みとエコシステムなど、幅広い内容となりましたが、個別事例を交えながらも大局的な動向がお伝えできるよう、心掛けました。


出席者の方からは「大変面白かった」「感銘を受けた」「シリコンバレー、米国での最新のエネルギー産業の動きがビビッドに伝わり素晴らしかった」等、非常に良いfeedbackを頂き、励みになりました。

2017年3月12日日曜日

どうなる?デマンドレスポンスの将来

2025年におけるカリフォルニアのデマンドレスポンスのポテンシャルを評価した「DRポテンシャルスタディ」の最終版が3月1日に発表されました。

このスタディはローレンスバークレー研究所によって行われたもので、DRのタイプをShed、Shape、Shift、Shimmyの4種類に分けて詳細を分析しています。Shed及びShapeは現在行われているタイプのDR。Shedはピーク時に需要を抑える従来型のDR、ShapeはTOU(Time of Use)など、料金体系を変えることによるDR。Shift及びShimmyは将来のDRで、Shiftは日々の電力需要をシフトすることによるDR、Shimmyは即応性のあるFast DR。

結論としては、料金体系を変えることによるDRが最もコストが低く、効果的であると主張されています( 注:カリフォルニアでは現時点では家庭用のTOUはオプトイン型のパイロットが行われている段階ですが、2019年には基本的に全ての家庭にてTOUが導入される予定です。)

また、日々の電力需要をシフトするShift DRについては、工業プロセス及び排水、商業分野の空調システムの技術が最も寄与するとされていますが、蓄電池のコストが下がった場合には家庭用蓄電池・電気自動車も非常に大きな役割を果たすことが示されています(下図参照)。

Shimmy DRについても、商業分野のLightingや空調システム技術が最も寄与するとのことですが、同様に、蓄電池のコストが下がった場合には家庭用蓄電池・電気自動車も大きな役割を果たすとしています。

ちなみに、このレポートの作成に携わったローレンスバークレー研究所のMary Annさんによる発表が先週サンフランシスコにてありました。(主な参加者は大手電力会社、DERP(Distributed Energy Resource Provider)などで、質疑応答も活発に行われました。)その中では、今後は応答性のある負荷を用いた動的な通信、制御、アグリゲーションが必要になるとして、将来の展望が紹介されていました。

(2017年3月2日、PG&Eにて、筆者撮影)


【追記】関連リサーチ " Clean vehicles as an enabler for a clean electricity grid"



2016年11月9日水曜日

カーシェアリングが車の所有に与える影響 

前回の投稿から、また時間が空いてしまいました。

その間、事業戦略の策定支援の他、米国でのスタートアップ立ち上げ等にも実際に携わっておりました。また、最近はエネルギー分野に留まらず自動車分野や、AI(人工知能)活用に関する戦略立案や技術支援も行っております。(こちらのブログにもそのうち、関連するトピックを書いていけたらと思っております。)

さて今日は、カーシェアリングが人々の車の所有に与えるインパクトについて、面白いスタディがあるので簡単にご紹介します。こちらのスタディはバークレー大学のTransportation Sustainability Research Centerによって行われたもので、世界最大のCar Sharing OperatorであるCar2Goが、人々の車の所有に与える影響を調査したものです。調査は北米の5つの都市で行われました。

結果は以下の通りです。

・Car2Goの車1台につき、平均1〜3台の車が実際に売られた
・Car2Goの車1台につき、平均4〜9台の車の購入が控えられた
・上記を合わせると、Car2Goの車1台につき、平均7〜11台の車の所有が抑えられた

以下のテーブルに5都市でのそれぞれの結果が載っています。

こちらはCar2Go1社のみについての調査であり、他にも様々なカーシェアリングサービスがあること、そしてさらにUberなどのライドシェアリングサービスがあること(参考:Car2Goの利用者が120万人に対してUberの利用者は800万人)を考えると、今後の車の所有にこれらのサービスが与える影響はとても大きいことが分かります。

そういった、もう少し俯瞰的な考察についてはまた別の機会に書ければと思います。

東京工業大学にて講演しました

先日9月3日に、東京工業大学にて、技術経営専門職学位課程及びイノベーション科学系の社会人学生の方々を対象に、「クリーンテックのイノベーション動向」について講演しました。

まず米国におけるクリーンテックの現状について様々なスタートアップの事例を交えながら紹介し、その後、支える政策や電力会社の役割、エコシステムについてお話ししました。

カリフォルニアにおけるVenture Capitalの投資状況については、以下の図を基に説明しました。また、最近のクリーンテック・スタートアップ企業のトレンドとして、1)データの活用(Big Data)、2)Energy as a Service、3)古い産業の効率化、の3点についてお話ししました。(Source:Next 10, Cleantech Forum)


質疑応答では様々な分野からの質問で盛り上がりましたが、特に日米間における比較、特にイノベーションを取り巻く日米間の環境の比較(と、その環境をどのようにimproveしていくべきか)に皆さん関心があるようでした。

終わってからも、シリコンバレーの臨場感が伝わって良かった、といった良いフィードバックを多く頂き、大変励みになりました。またこのような機会があれば、ぜひお話させて頂ければと思います。

2012年10月31日水曜日

デンマークのスマートグリッド実証実験

前回の投稿から、大分時間が空いてしまいました。2012年はコンサルティングのプロジェクトが切れ間なく入り、息をつく間があまりない1年間となっております。 

さて本日は、2012年3月に著者が北欧のスマートシティ(コペンハーゲン・アムステルダム・マルメ)を視察した際に見て参りました、デンマークでのスマートグリッド実証実験のうちの一つについて、書いてみたいと思います。 

デンマークは、2050年までに自国のエネルギーの100%を再生可能エネルギーで賄うことを目標としています。スマートグリッドへの投資も盛んで、ヨーロッパにおけるスマートグリッドプロジェクトのうち22%はデンマークで行われています。様々なスマートグリッド・プロジェクトが進んでいますが、他国と比べるとやはり再生可能エネルギー導入に役立てるという目的が色濃いのが特徴的で、特に風力発電を最大限に活用するためのスマートグリッド実験が進んでいます。


デンマークのスマートグリッド実験の中で大きな役割を担っているのは、PowerLabDKという電力・エネルギー関連の研究開発プラットフォーム(デンマーク工科大学(DTU)、Copenhagen University College of Engineering、Østkraft社の研究所からなるコンソーシアム)です。

PowerLabDKの概要は、下図の通りです。
出典:http://www.powerlab.dk/upload/sites/powerlabdk/media/the_bornholm_power_system_an_overview_v2.pdf

ボーンホルム島での実際の電力データと研究所における実験用システム・機器のデータを合わせて用いることで、リアルタイムでの電力システムのシミュレーションを行っているのです。SCADAシステムの配置されたコントロール・ルームにおいて全てのシステムを監視・制御しています。


DTUのコントロールセンター(以下、写真は全て筆者撮影)
DTUのリアルタイム・シミュレーター

実験の一つに、電力需要の増減を周波数制御に活用するための実験があります。周波数制御の機能のついた電気製品(ボトルクーラーや電気ヒーターなど)を200個導入し、実証実験が進められています。写真は、小型の周波数制御器のついたボトルクーラーです。デンマークでは、周波数制御サービスの市場価格Western Denmark (DK1) では年間、MWあたり8000ユーロ、Eastern Denmark (DK2)では年間MWあたり20000ユーロです。周波数制御装置は1つ20ユーロなので、1kwの消費電力の電気製品であれば、計算上は1年又は2年半で元が取れることになります。

周波数制御機能付きボトル・クーラー


また、PowerLabDKの一部として、DTUのRisø研究所では、自前の小型電力網を用いて、風力タービン、PV、ディーゼル発電機、蓄電池、オフィスビル、プラグインハイブリッド車、電気自動車、充電インフラ等を統合的にマネージするスマートグリッド実験が行われています。
実験の様子1

緑色の線は風力の発電量、茶色の線は太陽光の発電量、赤の線はFlexhouseと呼ばれる小型オフィスビルでの需要、灰色の線は蓄電池への充電、青の線は系統への供給量を示しています。風力の発電のブレに合わせて、少し遅れて蓄電池への充電が行われていることが、見て取れます。
実験の様子2
以上、デンマークで行われているスマートグリッド実験の一部を簡単にご紹介しました。

以前視察したEPRIのスマートグリッドラボ(こちらも多岐にわたるスマートグリッド実験が行われていて興味深い)や、アムステルダム市・マルメ市の様子についても、また機会があれば書いてみたいと思います。