VERGE 25で「Corporate Reverse Pitch for Data Centers: What Climate Leaders Need Built Now(データセンター:気候リーダーが今求めるソリューション)」というセッションに参加しました。
このセッションの面白いところは、通常のスタートアップが企業にピッチする形式ではなく、企業のリーダーたちが起業家や投資家に向けて自社のサステナビリティ課題をピッチするという「逆ピッチ」形式だったことです。パネリストが提示した主な課題
HPE(Monica Bachelder氏、Chief Sustainability Officer)
- クリーンエネルギーの可視化 - サーバーやワークロードレベルでの再生可能エネルギー利用状況の把握と最適化
- ソフトウェア効率性の測定 - AIモデルが実際にどれだけのコンピューティングリソースを消費しているかの測定
- 人材育成プログラム - AIとサステナビリティの両方を理解できる人材の育成
Amazon Devices(Juliette Devaney氏)
- プリント基板の革新 - アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)によるプリント基板ソリューション
- 低炭素材料 - デバイス部品への低炭素材料の活用
- エネルギー効率 - 熱管理、ディスプレイ、バッテリーにわたるエネルギー効率の向上
Equinix(Greg Metcalf氏)
- 熱回収システム - データセンターの廃熱を地域暖房に供給するシステム
- スペースと都市統合 - 限られた空間での熱回収システムの実装と都市環境への統合
- 経済性の課題 - 米国では天然ガス価格が低いため、熱回収の経済的メリットが出にくい問題の克服
National Grid Partners(Aaron Panzer氏)
- フレキシブル接続ソリューション - 年間5%のピーク需要期間に対応するための柔軟な電力接続
- 運用ツール - 電力網上の変動負荷を管理するための運用ツール
- モバイル/バッテリーソリューション - より迅速な相互接続を実現するためのモバイル・バッテリーソリューション
- 長期インフラ計画システム - 長期的なインフラ計画を支援するシステム
スタートアップとの協業方法
各社は、スタートアップとの協業方法についても共有してくれました。パイロットプログラムや共同イノベーション、VC投資、そしてentrepreneur-in-residence(社内起業家)プログラムまで、多様な協業の形があることがわかりました。
所感
解決すべき具体的な課題が明確に示されたことで、起業家や投資家にとって非常に有益なセッションでした。今後もこのようなセッションが増えてくると面白いなと思います。
