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2020年7月24日金曜日

COVID19の影響で活用が進むデリバリーロボット

グーグルの本社があるマウンテンビュー市。シリコンバレーの中心とも言えるマウンテンビュー市のダウンタウンでは、以前からロボットや変わった乗り物をよく見かけますが、最近は特に、デリバリーロボットの活用が進んています。

コロナウイルスによるShelter-in-placeが始まって少し経った4月中旬頃から、マウンテンビューダウンタウン付近では、自動運転によるデリバリーロボットが複数台稼働している状況が普通に見られるようになりました。初めこそ珍しくて、写真やビデオを撮っている人が多くいたものの、今はもう住人は見慣れてしまい、ロボットがいる光景はごく普通のことなっています。


試しにアプリをダウンロードしてチェックしてみたところ、約3ドルの宅配費用に加え、商品には通常価格の20%くらいが上乗せされていました。宅配サービスの大手スタートアップ、Instacartと同じ手法です。購入金額の20パーセント増しになることを考えるとそれほど安くはないですが、歩行や荷物の運搬が困難な高齢者の方には、便利なオプションと言えるでしょう。ちなみに、このロボットは話すこともできます。「Hi! I'm Starship, delivery robot!と挨拶して来たことがありました。また、父の日には「Happy Fathers Day!」と話すキャンペーンを行なっていました。

また、宅配ロボットとは別に、自動運転(あるいは自動運転を見越した遠隔操作?)で動いている無人スクーターも4台ほど見かけました。COVID19の影響で外出する人が少なくなっているうちに、様々なロボットの試験や実用化が進みそうです。

2019年3月30日土曜日

シリコンバレーのCCA - 2018年の状況

先日、家にPG&EとCCAであるSVCE (Silicon Valley Clean Energy)から、ハガキが届きました。(CCAについての説明はこちら

'Understanding Your Energy Choice'と題されたハガキには、PG&Eの電力料金とSVCEの電力料金の比較(2018年)がされています。

SVCEのdefaultメニューとなる「GreenStart」の料金はPG&Eの電力料金よりも少し安くなっています(月の平均料金が$114.87 vs. $111.84)。

また、電力MIXの内訳の比較もなされています。これによると、SVCEエリア内の住民は実質、55%が再生可能エネルギー、45%が大型水力発電からの電力を供給されており、100%カーボンフリーの電力が供給されていることになります。(物理的にではなく、仮想的にですが)。

Campbell, Cupertino, Gilroy, Los Altos, Los Altos Hills, Los Gatos, Milpitas, Monte Sereno, Morgan Hill, Mountain View, Saratoga, Sunnyvaleの住民は、オプトアウトしていない限り、100% carbon freeの電力を使っていると言えます。

ところで、CalCCA(California Community Choice Association)は、カリフォルニア州内のCCAs(Community Choice Aggregators)による再エネの長期契約(PPAs:Power Purchase Agreements)が2018年に10月に合計2,000 MW(2 GW)を超えたと発表しています*。

2017年にはカリフォルニアにおけるCCAの再エネ長期契約の総量は約1000MW(1GW)だったことから、この1年で約2倍に伸びたことになります。


*source: https://www.elp.com/articles/2018/11/california-ccas-double-renewable-energy-commitment-adding-1-gw-capacity-in-one-year.html

2019年1月12日土曜日

サンフランシスコベイエリアの将来シナリオ

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

さて、今日はサンフランシスコ・ベイエリアの都市計画に関するNPO法人SPUR(San Francisco Bay Area Planning and Urban Research Association)が昨年出していた、ベイエリアの将来シナリオについての資料を紹介します。

「Four FutureScenariosfor theSan FranciscoBay Area」と題されたこの資料では、Critical UncertaintiesとしてEconomy, Housing, Transportation, Physical Formの問題を挙げ、External ForcesとしてClimate Change, Earth Quakes,そして The Federal Governmentを挙げています。「地球温暖化」や「地震」と並列で「連邦政府」が挙げられているのに思わず笑ってしまいましたが、それだけ連邦政府の動向がインパクトを与えるということでしょう。

Conclusionとして以下のように纏められていますが、Housingの問題やTransportationの問題の解決が、ベイエリアの持続可能な発展には急務だということが強調されています。

”Our region today has so much going for it: A diverse and open culture that embraces many kinds of innovation. A highly educated population. A network of walkable urban neighborhoods and fine old buildings. Beautiful natural scenery and iconic landmarks that make it famous around the world. And, of course, a powerful economic engine that generates new ideas, new companies and new jobs with seemingly limitless potential.
 But the tremendous success of the Bay Area economy has had unintended consequences. We have not grown the region’s physical form — especially housing stock and transportation capacity — at the same pace we have grown our economy. High housing costs are pushing people to the edges of the region and commutes are becoming untenable. Homelessness is overwhelming public life and services. If left unaddressed, these forces could take the region down a path of extreme inequality and, eventually, economic decline.
 It’s not too late to correct course, but doing so requires us to think deeply about how we got here — the decisions, chains of events and values that led to our current situation. By exploring several possible futures, we can better understand the outcomes of the decisions we make today and use that foresight to shape a better tomorrow for all of us who call the region home."

技術が目覚ましいスピードで進化し、イノベーションが次々と起きていくこの地ですが、「持続可能な発展」について考えている人々・取り組んでいる人々も多くいます。これからの数年は、「持続可能な発展」への取り組みの重要性がより一層増してくるでしょう。

2017年8月28日月曜日

小型電気自動車を開発するスタートアップ

筆者の住むMountain Viewは、グーグルの本社のある街であり、Waymo(グーグルの子会社)の自動運転車が日常的に街中を走っています。(筆者の家のすぐ近くの交差点で、自動運転車が事故を起こしているのに出くわしたこともあります。)

新しいことを試してみたい人が多く集まる街であることもあり、変わった乗り物に乗った人をたまに見かけます。変わったタイプの自転車に乗っている人もよく見かけますし、変わった小型電気自動車に乗っている人もたまにいます。

今回は、北米で小型電気自動車を開発するスタートアップ企業について紹介したいと思います。

まずは、ZEV社。ZEV社の3輪小型電気自動車T3-1 Microの価格は6,300ドル。

写真:http://www.zelectricvehicle.com/31.html

Arcrimoto社の3輪小型電気自動車は、$12,000ドルと、かなり高め。

写真:https://www.arcimoto.com/vehicle/

それから、カナダのVelmetro社。Velmetro社のVeemoは、自転車として分類され、自動車免許が不要だそうです。ブリティッシュ・コロンビア大学のキャンパスでこの秋から、テスト走行が始まるとのこと。

写真:https://www.velometro.com/veemo/

トヨタ社も、街乗りに最適なのは小型EVであるとしてi-Roadというコンセプトカーを発表しています。

このような小型電気自動車は現在はコアなファンが購入し、利用しているという状況ですが、これから価格が下がってくると利用も増えてくるのでしょうか。比較的場所を取らないので、大学や会社のキャンパス内での利用には向いているように思えます。

2017年8月16日水曜日

電気自動車DRアグリゲーションの難しさ

PG&EとBMWが協力して実施していたパイロットプロジェクトのPhase1の結果が出ていました。

2015年7月から2016年12月までの18ヶ月間のパイロットプロジェクトで、計209回、19,500KWhのデマンドレスポンス(DR)を提供したとのことです。プロジェクトには100台のBMWi3が参加。車による電力削減量がDRの最小単位(100KW)に十分でない時には、2次利用の蓄電池からの電力を施設で使用することでDRを達成。結果として、平均で20パーセントのDRが車により、残りの80パーセントは蓄電池により行われたそう。

プロジェクトに参加した電気自動車は100台とのことですが、そのうちDRイベントに参加した車は平均で7台。まだまだ、電気自動車のDRへの利用は難しいことが分かります。車の第一の存在意義は移動に使われること、であるため、電気自動車のDRで安定して結果が得られるようになるには、多くの参加者・規模が必要になります。停まっている車が常に充電されているわけではない、という点も鍵です。

参考までにですが、夜中の11時-2時のPG&Eの電力料金の安い時間には、(その時間に充電している人が多いため)、車のDRイベントへの参加率も高かったそうです。

(source: http://www.pgecurrents.com/wp-content/uploads/2017/06/PGE-BMW-iChargeForward-Final-Report.pdf)

先日、DRAM2018&2019の最新情報についての記事を書きました。その中で、電気自動車を対象としたデマンドレスポンスをアグリゲーションするeMotorWerksが今回は入らず、まだまだ電気自動車のDRアグリゲーションが難しいようである、と記しましたが、こちらのBMWの実証実験からも、同様のことが窺えますね。

【追記】facebookでコメントを頂いたので、こちらに追記しておきます。こちらは現行のCAISOのPDRに参加する上での現状の課題について書いたものです。将来のDRについては、以前書いた記事を参考にしてください。

2017年8月15日火曜日

シリコンバレーのCCA

CCAという言葉を聞いたことがあるでしょうか。CCAとは、Community Choice Aggregationの略で、市やカウンティなどの地方自治体が自ら電力を調達し、(電力会社の電力網を通じて)、地域住民によりグリーンな電力を提供できるようにするプログラムです。


(写真:https://www.svcleanenergy.org/about-us)

例えばシリコンバレーのCCAであるSVCE (Silicon Valley Clean Energy)では、Green Startという、供給される電力の半分が再生可能エネルギーとなるプログラム(PG&Eの価格に比べて平均で0.5%だけ安い)とGreen Primeという
供給される電力の100%が再生可能エネルギーとなるプログラム(PG&Eの価格に比べて平均で3-4%だけ高い)の二つを用意しています。

SVCEはMountain View市やCupertino市、Los Altos市などシリコンバレーの12のコミュニティによって作られた組織です。

カリフォルニアのCCAには他にも、Peninsula Clean Energy, MCE clean Energy, Sonoma Clean Power, Lancaster Choice Energy, Clean Power SFなどがあります。

追記:2018年のSVCEの電力料金と電力MIXについてはこちらをご参照ください


2016年11月9日水曜日

東京工業大学にて講演しました

先日9月3日に、東京工業大学にて、技術経営専門職学位課程及びイノベーション科学系の社会人学生の方々を対象に、「クリーンテックのイノベーション動向」について講演しました。

まず米国におけるクリーンテックの現状について様々なスタートアップの事例を交えながら紹介し、その後、支える政策や電力会社の役割、エコシステムについてお話ししました。

カリフォルニアにおけるVenture Capitalの投資状況については、以下の図を基に説明しました。また、最近のクリーンテック・スタートアップ企業のトレンドとして、1)データの活用(Big Data)、2)Energy as a Service、3)古い産業の効率化、の3点についてお話ししました。(Source:Next 10, Cleantech Forum)


質疑応答では様々な分野からの質問で盛り上がりましたが、特に日米間における比較、特にイノベーションを取り巻く日米間の環境の比較(と、その環境をどのようにimproveしていくべきか)に皆さん関心があるようでした。

終わってからも、シリコンバレーの臨場感が伝わって良かった、といった良いフィードバックを多く頂き、大変励みになりました。またこのような機会があれば、ぜひお話させて頂ければと思います。