2019年5月10日金曜日

PG&E破綻でどうなる?太陽光発電業界への影響・動向

先日、PG&Eの破綻によってカリフォルニア住民の負担が増えることについて書きましたが、エネルギー業界で仕事をしている立場からすると、より気になっているのは、再エネのPPA(Power Purchase Agreement)への影響がどうなるのか、ということです。

PG&Eは現在、損害賠償の額を約142億ドルと推定していますが、その負債を支払うための策の一つとして、破産裁判所(bankruptcy court)に、昔に高価格で締結された再エネのPPA(電力販売契約)の再交渉の許可を求めています。現在は、太陽光発電のPPA価格は昔に比べて格段に下がっています(下図参照)。



source: LBNL


Credit Suisse社の試算では、PG&Eは2012年以前の太陽光発電PPA(7MW以上)を再交渉することで、年間約22億ドル分が回収できる可能性があるとのことです。

一方で、問題を見越して既に太陽光発電プロジェクトの信用格付けは下がっており、そのことによるコスト上昇=PPA価格の上昇が起きています。太陽光発電業者の資金調達環境が悪化することで州の太陽光発電業界の発展に支障がでる可能性があるため、CPUC(California Public Utility Commision)はFERC(Federal Energy Regulatory Commision)に、PG&EによるPPAの再交渉を認めないよう、介入を求めています。


破産裁判所は、激しい法廷での闘争に入る前にPG&EとPPAの相手先企業NextEra Energy Resources など)との間での和解を勧めていましたが、期限である5月3日の時点で、和解には至りませんでした。


今後の動向が注目されます。


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