2017年8月10日木曜日

8月21日の日食がグリッドに及ぼす影響は?

8月21日の午前10時頃にカリフォルニアで日食が予測されており、その影響で最大5000MW以上の太陽電池の発電が失われるとのことです。


(source: CAISO)

CAISOではグリッドマネージメントのため去年から色々と対策をしており対策は全て済んでいます(のでおそらく停電などの問題はほとんど起こらないはず)が、1週間前にも需要の精査と市場参加者からの供給の確認を行い、当日もリアルタイムの需要予測の反映を厳重に行うそうです。(対策の詳細が知りたい方はCAISOの資料を見て下さい)。

また、これに合わせてデマンドレスポンス関連の会社(例えばOhmConnectやeMotorWerksなど)が、消費者へのデマンドレスポンスへの協力を大々的に呼びかけています。DRがどのくらい貢献できるのか、興味深いです。

2017年8月8日火曜日

『超小型電気自動車』が流行る町の実態


アメリカのアトランタ郊外にある町、Peachtree。この町は、NEV(Neighborhood Electric Vehicle)が流行っている町として知られています。

NEVなどというとカッコいい響きがあるものの、その実態は、ゴルフカートです。人口3万4千人の町で、9000世帯以上がゴルフカートを持っているというのですから、驚きです。


60年代にゴルフ場が出来た事がきっかけで、住民のカート利用が始まり、1974年にカートの公道使用が合法化したそう。15歳以上はカート運転可なため、地元の高校への通学は、車よりカートが主流だとか。

ゴルフカートは新車$5000~、中古$2000~程で購入可能とのことです。言われてみれば、町でのチョイ乗りには、ゴルフカートが十分機能しますよね。

私の住んでいるシリコンバレーでも、大学や会社のキャンパスの敷地内では、ゴルフカートが使われているのをよく見かけます。グーグルの敷地内にも、幾つかゴルフカート(おそらく、従業員用ではなく、メンテナンス関係などのスタッフ用)があるのを見かけましたが、充電は、普通の120Vのコンセントから充電されていました。

新たな充電インフラも不要で、安くて使いやすいゴルフカート。可愛らしい外観のものであれば、観光用にも使えそうです。これからも、地域の乗り物として普及して行くかもしれません。

2017年8月6日日曜日

電池の2次利用についての動向

先日、シリコンバレーにあるメルセデス・ベンツのR&Dセンターにて、電池の2次利用についてのセミナーが行われていました。

(多くの参加者がいました@会場)

電気自動車に使われた使用済み電池を、定置用の蓄電池として活用することをビジネスモデルとするスタートアップ(Freewire 社、The Mobility House社)やバッテリー・マネジメント・システムの会社(Nuvation Energy社)、自動車部品メーカーのBosch社などがパネリストとして参加していました。

現在は電池の2次利用に関する技術的な問題は殆どクリアされたフェーズで、また、経済性に関しても、十分に成り立つケースもあるとのことです。高い信頼性の要らない場面では、second life batteryが十分機能するとのこと。電気自動車の増加が世界的に見込まれる今、面白い領域ではあります。

ただ、課題も多いです。今後新品の蓄電池価格が安くなりすぎると、使用済み電池の「安く手に入る」というバリューが薄れますし、マージンもさらに低くなることでしょう。

ところで、会場となったメルセデス・ベンツ社には、最近彼らが出した家庭用の蓄電池が展示されていました。


先日サンフランシスコで行われたInter Solarでも、「メルセデス・ベンツ・エナジー」として大きなブースを出し、蓄電池を宣伝していました。

2017年8月3日木曜日

DRAM 2018&2019 最新情報

2018年と2019年のDRAM(Demand Response Auction Mechanism)の契約者が決定し、CPUC からの承認を待つフェーズに入りました。

最終ラウンドとなる今回は契約容量の総量が200MWにもなります。

契約内容の詳細について、GTMに良い記事があったので、そちらを元に私の方で表に纏めてみました。


電力会社 契約者 契約容量(MW)
SCE OhmConnect 60+
契約容量:99MW Enerwise/Cpower 35
予算: $12M EcoFactor 0.5
GreenChargeNetworks 0.5
Tesla 0.34
電力会社 契約者 契約容量(MW)
SDGE NRG Curtailment Solutions 6
契約容量:14MW OhmConnect 4
予算: $3M Autogrid 1.7
Stem 1.2
Green Charge Networks 1
電力会社 契約者 契約容量(MW)
PG&E EnerNoc unknown
契約容量:80/90MW Ohmconnect unknown
(2018/2019) Autogrid unknown
予算: $12M Sunrun unknown
Tesla unknown

TeslaやEcoFactorが入ってきているのが、いよいよ(やっぱり)、という感じで面白いですし、逆にeMotorWerksなどが入らなかったのは、まだまだアグリゲーションが難しい部分があるのだろうか、と推測が進みます。

OhmConnectが3社全てのUtilityと契約、しかもとても大きな契約容量であることも驚きでした。SCEとは全部で60MWの契約、2019年までに用意できる予定とのことです。結構ストレッチしている目標な気もするので、これからのexecution能力に期待です。

OhmConnectは私が、会社が立ち上がった初期から面白いと目をつけていた会社であり、最近の活発な動きはとても興味深いです。


2017年6月21日水曜日

NYのREV(Reforming the Energy Vision)

AIを活用した新しいタイプの電力会社として、スタートアップのDriftが資金調達(シリーズA、約$2M)をし、ニュースになっていました。
使われる技術自体は特段目新しいものではないですが、このようなスタートアップが「電力会社として」ビジネスを行うことは新しいです。

このような新しい電力会社が誕生した背景としては、NYのREV(Reforming the Energy Vision) があります。REVとはニューヨーク州の電力改革のイニシアチブで、消費者がより多くの情報を基にエネルギーを選択できるようにし、新しいエネルギー製品やサービスの開発を促すことで、州全体の環境を守り、同時に経済発展や雇用創出を行おうとするものです。

Driftはシアトルに本拠を置く会社ですが、シリコンバレーの私の知っているスタートアップ企業でも、ニューヨーク州をビジネスの拡大の足掛かりにしようとしているところがあります。

弊社(Eneleap Consulting L.L.C.)では、カリフォルニア州やニューヨーク州をはじめとする州別の政策レポート(定期レポート)の他、Block ChainやTransactive Energy、Community Choice Aggregation等、テーマ別の調査レポートも発行しております。
もしご興味のある方はinfo@eneleap.comまでご一報ください。

2017年6月3日土曜日

東京大学と早稲田大学にて講演しました

5月24日に東京大学生産研スマートエネルギーネットワーク研究会、5月26日に早稲田大学の電力技術懇談会にて講演しました。

いずれも、電力・ガス会社や車会社など、エネルギー関連の方々が多く集まる講演会で、私は「米国におけるエネルギー新ビジネスの最新動向」についてお話させて頂きました。

連邦政府の政策、カリフォルニアなど州レベルの政策の最新動向、さらに私の考えるスタートアップのトレンドや今後の展望、電力会社の取り組みとエコシステムなど、幅広い内容となりましたが、個別事例を交えながらも大局的な動向がお伝えできるよう、心掛けました。


出席者の方からは「大変面白かった」「感銘を受けた」「シリコンバレー、米国での最新のエネルギー産業の動きがビビッドに伝わり素晴らしかった」等、非常に良いfeedbackを頂き、励みになりました。

2017年3月12日日曜日

どうなる?デマンドレスポンスの将来

2025年におけるカリフォルニアのデマンドレスポンスのポテンシャルを評価した「DRポテンシャルスタディ」の最終版が3月1日に発表されました。

このスタディはローレンスバークレー研究所によって行われたもので、DRのタイプをShed、Shape、Shift、Shimmyの4種類に分けて詳細を分析しています。Shed及びShapeは現在行われているタイプのDR。Shedはピーク時に需要を抑える従来型のDR、ShapeはTOU(Time of Use)など、料金体系を変えることによるDR。Shift及びShimmyは将来のDRで、Shiftは日々の電力需要をシフトすることによるDR、Shimmyは即応性のあるFast DR。

結論としては、料金体系を変えることによるDRが最もコストが低く、効果的であると主張されています( 注:カリフォルニアでは現時点では家庭用のTOUはオプトイン型のパイロットが行われている段階ですが、2019年には基本的に全ての家庭にてTOUが導入される予定です。)

また、日々の電力需要をシフトするShift DRについては、工業プロセス及び排水、商業分野の空調システムの技術が最も寄与するとされていますが、蓄電池のコストが下がった場合には家庭用蓄電池・電気自動車も非常に大きな役割を果たすことが示されています(下図参照)。

Shimmy DRについても、商業分野のLightingや空調システム技術が最も寄与するとのことですが、同様に、蓄電池のコストが下がった場合には家庭用蓄電池・電気自動車も大きな役割を果たすとしています。

ちなみに、このレポートの作成に携わったローレンスバークレー研究所のMary Annさんによる発表が先週サンフランシスコにてありました。(主な参加者は大手電力会社、DERP(Distributed Energy Resource Provider)などで、質疑応答も活発に行われました。)その中では、今後は応答性のある負荷を用いた動的な通信、制御、アグリゲーションが必要になるとして、将来の展望が紹介されていました。

(2017年3月2日、PG&Eにて、筆者撮影)


【追記】関連リサーチ " Clean vehicles as an enabler for a clean electricity grid"